—Overview
5つの事業形態、
それぞれの最適条件。
選択は年商・業種・国際性・成長意欲で決まります。個人フリーランスなら Micro / Small、スケールするチームなら LLC、IT分野で海外クライアント中心なら Virtual Zone — それぞれに最適な入り口があります。
01Individual Entrepreneur
個人事業主(IE)
The gateway — register first, optimize later.
すべての個人での事業活動の入り口となる登録形態。登録自体は1日〜数日で完了し、その後 Micro / Small などのステータス申請が可能になります。登録しないままフリーランスとして活動すると、自動的に20%の所得税が課される点に注意。
Registration
国家公的登録機関(NAPR)経由でオンライン登録。通常1営業日、長くて数日。
Default Tax
ステータス未取得の場合 20% の所得税が適用されます。
Next Step
年商見込みで Micro または Small のステータスを申請。Revenue Service(歳入庁)ポータルで完結。
02Micro Business Status
マイクロビジネス ステータス
A legitimate 0% — for lean, solo operations.
Annual Cap
30K.
GEL / 約165万円相当
Employees
0.
SOLO OPERATION ONLY
Conditions
個人事業主として登録済み・スタッフを雇わない・自分一人で完結する業務。
Typical Fit
翻訳、デザイン、Web制作、ライター等、リモート型の単独業務。
Administrative Load
税務署への申告はシンプル。月次/年次の管理が必要だが、Small に比べても軽量。
Practical Note
年商 30,000 GEL という枠は小さく見えますが、リモートワーク中心の個人事業主にとっては
実質非課税で活動開始できる意味合いが大きい制度です。多くの駐在型日本人フリーランスが活用しています。
03Small Business Status
スモールビジネス ステータス
The flagship — 1% on turnover up to 500K GEL.
Standard Rate
1%
OF TURNOVER
Annual Cap
500K.
GEL / 約2,700万円相当
Eligible Activities
レストラン・カフェ、輸入販売、デザイナー、講師業、マーケティング、IT 関連など幅広く該当。
Excluded
弁護士・会計士・コンサルタント等の専門サービス、金融・ギャンブル関連、および 2025年2月以降は建設サービス業(HSコード 41.2 / 42 / 43)も除外。
Employment
スタッフの雇用可能。給与には給与源泉徴収が発生。
Cap Overflow
年内に 500,000 GEL を超えた場合、超過分は 3%。ステータスは年末まで維持可能。2年連続で超過した場合、翌年1月1日に自動失効。
Agritourism
2025年1月から、農業・ワインツーリズム業は年商上限が 700,000 GEL に拡大。
VAT
12か月の課税売上 100,000 GEL 超で VAT 登録が必要(Small Business とは独立)。
Strategic View
年商 500,000 GEL のうち 1% = 5,000 GEL が税額。日本のフリーランス所得税(累進)と比較すると、多くの業種で
税負担は 1/10 以下となるケースが一般的です。
04LLC / Limited Liability Company
LLC(有限会社)
15% — but only when you distribute.
Corporate Tax
15%
ON DISTRIBUTED PROFITS ONLY
On Reinvestment
0%
RETAINED EARNINGS
個人での規模を超えて、事業をスケールさせたい段階で選ぶ法人形態。LLC を設立することで、法人名義の銀行口座・取引信用・投資家との契約容易性が確保されます。そして最大の魅力は、エストニア型の「分配時課税」が適用されること。
Banking
法人名義の口座開設が可能。事業用の取引信用が確立されます。
Assets
法人名義で 証券口座・仮想通貨口座 の保有が可能。個人資産と事業資産を構造的に分離できます。
Expense Handling
経費処理が柔軟。ただし「税金のために経費を増やす」必要は構造的に不要。
Investor Relations
出資受け入れ・持分譲渡・パートナーシップ契約などが容易。
Distribution
配当・社長報酬として外に出す時点で 15% の法人所得税が発生。
Retention = 0%
設備投資・新規プロジェクト・運用資金として会社に残す限り、法人税はかかりません。
05Virtual Zone Entity
Virtual Zone(仮想ゾーン)
For IT companies exporting services — 0% CIT on foreign revenue.
Registrants (2024)
1,275.
GRANTED VZE STATUS
IT 企業が海外クライアントに提供するサービス収益に対して、法人所得税および VAT が免除される制度。ソフトウェア開発、アプリ制作、サーバ管理・クラウドサービス、海外向けデジタルコンサルティング等が対象です。
Qualifying Activities
ソフトウェア開発・研究・設計・保守・実装、および関連する情報システム提供。ただし知的財産の所有・実質的な研究開発実体を証明できることが重要。
Domestic Revenue
ジョージア国内クライアント向け収益は通常課税(分離管理が推奨)。
Application
Revenue Service のオンラインポータルで申請。審査期間は公式 5営業日、実務上は 10〜60日。
Status Persistence
Virtual Zone Status は恒久的(ただし ICS 取得時は失効)。
Compliance
税率 0% でも RS.ge ポータルを通じた月次報告が必須。未実施は罰金・ステータスフラグ対象。
2022 Dec Update
2022年12月の Revenue Service 通達により、要件が厳格化。"グレーゾーン"として運用されていた形態の多くが除外対象になりました。
Distribution
VZE の収益も、分配(配当)時には通常の法人所得税が発生します。再投資し続ける限りは実質 0%。
·Adjacent Regime
International Company Status(ICS)
2020年10月に導入された、より新しい制度。IT分野で 2年以上の実績を持つ企業を対象に、VZE よりもさらに有利な優遇を提供します(法人所得税 5%、給与源泉税の軽減など)。VZE と ICS は同時保有不可で、ICS 取得時点で VZE ステータスは失効。成熟した IT 企業にとっては、ICS の方が有利に働くケースがあります。
—Comparison Matrix
どれを選ぶか、
一望する。
| 形態 | 年収上限 | 税率 | 雇用 | 特徴 |
| Micro Business | 30,000 GEL | 0% | 不可 | 個人単独のみ |
| Small Business | 500,000 GEL | 1% / 3% | 可 | 士業・金融・建設系除外 |
| 通常の個人事業主 | 制限なし | 20% | 可 | ステータス未登録時のデフォルト |
| LLC | 制限なし | 15%(分配時) | 可 | 利益留保で実質 0% |
| Virtual Zone | IT業限定 | 0%(海外売上) | 可 | 月次報告必須・恒久的 |
| International Company | IT 2年実績 | 5%(CIT) | 可 | 給与源泉軽減・配当 0% |
※ 1 GEL ≒ 55円(変動あり)。業種によっては適用除外あり。
—Risks & Pitfalls
知らないままで始めるのが、
最大のリスク。
法人設立・ステータス取得の手続き自体は簡単です。だからこそ、知識のないまま始めると構造的な不利益を受けやすい。以下は、私たちが実際に目にしてきたよくあるケースです。
Pitfall 01
ステータス未登録のまま事業活動
個人事業主として登録済みでも、Micro / Small のステータスを取得していないと自動的に 20% が課税されます。歳入庁から通知が来てから気づくケースも多発。
Pitfall 02
Virtual Zone 適用要件の過信
2022年末の通達改定以降、「IT業なら誰でも」という運用は終わりました。知的財産所有・研究開発実体の証明が求められ、実態が伴わない場合は否認される可能性が高い。
Pitfall 03
現地会計士の質のばらつき
日本のような統一的な会計士資格制度が整備されていないため、誰でも「会計士」を名乗れます。誤ったアドバイスで不利な処理を受ける事例が報告されており、専門家の選定は慎重に。
Pitfall 04
日本側の税務・居住者判定の欠落
現地制度だけに目を奪われ、日本の居住者判定(1年183日ルール、生活の本拠、家族構成など)や CFC 税制との整合性を見落とすと、日本側で追徴を受けるリスク。国際税務は両国の視点で設計する必要があります。